中国のレアアース 溜め込みすぎて ＦＯＲ ＳＡＬＥ

習近平国家主席率いる中国国務院が２３日、レアアースの輸出税を５月１日から撤廃すると発表した。２０１０年、沖縄・尖閣諸島の中国漁船衝突事件の制裁措置として中国がレアアースの輸出規制をしたことは記憶にあるが、それによって大きな混乱があったのかどうかというと、自分の記憶にない。現場はきっと混乱したのだろうけど、中国側におもねることなく急場を乗り切った感がある。

レアアースを外交カードと考えていた中国はここになってレアアースを特売する羽目になった。習近平国家主席が振り上げた拳をそっと下したのだ。完全な敗北である。しかし、輸出税を撤廃したからと言って、中国のレアアースが中国の言い値で売れるわけもない。すでにレアアースは中国依存から脱却しているのだ。輸出税撤廃とともに大幅な値引きを強いられるのは間違いない。

インドネシアのバンドン会議で、習近平国家主席が阿部晋三首相に対して、ニコヤカに会談を持ったことに象徴されている。中国は日本対して膝を屈し続けなければ生き残れない状況にあるのだろう。アジアインフラ投資銀行(AIIB）への日本の参加要請が腹の中にあっての行為だろうが、これからはあらゆる面でこのような状況が出てくるのではないかと思う。AIIBがとん挫した後の中国はどうなるのであろうか。日本は遠くから見て国益のある部分にだけ手を差し伸べればいいのだ。