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山手トンネルでの最新掘削工法はリアル・ジェット・モグラ

7日夕方、首都高速中央環状線が全線開通した。日本最長の道路トンネルとなった「山手トンネル」(全長約18・2キロ)の最後の開通区間になった大橋ジャンクション(JCT)―大井JCT間(約9・4キロ)の一部工事には、国内初の最新工法が導入されたという。「ヒントはサンダーバードに出てくる『ジェット・モグラ』だった」新工法を開発した、大林組の技術者、井沢昌佳さん(46)はTVの人気番組からヒントを得たことを話した。

 

通常地下トンネルを掘る場合、まず縦穴を掘って「シールドマシン」という回転式のカッターのついたマシンを下してから横穴を掘り進める。サンダーバードの『ジェット・モグラ』は地表に斜めにドリルを突き刺し、掘り進んでいくスタイルだ。このスタイルを現実化すれば、大幅に工期を短縮できるのではないかと考えた井沢さんは、2003年4月開発に着手した。

 

「シールドマシン」は横穴を掘るための構造になっていて、これを斜めにするとバランスが悪い。前部分が重いのだ。そこで井沢さんはメーカーと相談しながら、角度があってもバランスがとれるように重心を中心に持ってこれるよう改良を重ねた。実用化の目途が立ったのは05年だったという。

 

新工法で、建設費用は約2~3割削減され、工期も3分の1程度に短縮。縦穴が不要になる分、工事の騒音や振動が低減され、二酸化炭素の排出量は約5割減、掘削する土砂も約4割削減されるという。

 

08年6月には、中央環状線大橋JCTー大井JCT間の886メートルの区間でこの工法が採用され、工場長として陣頭指揮をとった井沢さんは「地下トンネル工事の技術は、様々な地下開発の場面で活用できる。今後もより合理的な技術を開発していきたい」と話している。正に技術大国日本の面目躍如といった話で日本国民としてたいへん誇らしい限りである。

 

太田国土交通相も6日の閣議後記者会見で、「我が国の技術力を示すことができた」とコメントしたという。